M資金

M資金とは、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が占領下の日本で接収した財産などを基に、現在も極秘に運用されていると噂される秘密資金である。「M」は、GHQ経済科学局の第2代局長であった少将ウィリアム・マーカットの頭文字とするのが定説となっている。その他にマッカーサー、MSA協定、フリーメーソンなどの頭文字とする説などがある。

M資金の存在が公的に確認された事は一度もない。M資金をふくむ様々な秘密資金を詐欺で語る手口が存在し、著名な企業や実業家がこの詐欺に遭い、自殺者まで出したことで一般人の間でも有名になった。過去にはその被害を企業の不祥事としてフィクサーがぶち上げるケース、逆に報道により実態をうやむやにするケースもあった。

不透明な資金

第二次世界大戦終戦時の混乱期に、大量の貴金属やダイヤモンドなどの宝石類を含む軍需物資が、保管されていた日銀地下金庫から秘密裏に流用されていた隠退蔵物資事件や、件の日銀地下金庫にGHQマーカット少将指揮の部隊が調査・押収に訪れた際に、彼らによる隠匿があったとされた事件などが発生した。

GHQの管理下に置かれた押収資産は、戦後復興・賠償にほぼ費やされたとされるが、資金の流れには不透明な部分があり、これが“M資金”に関する噂の根拠となった。他には、終戦直前に旧日本軍が東京湾の越中島海底に隠匿していた、大量の貴金属地金が1946年4月6日に米軍によって発見された事件や、終戦直後に各種の軍需物資が隠匿され、闇市を通じて流出していた時期の鮮明な記憶が噂の真実味を醸し出していた。

また、戦後のGHQ統治下で構築された、いくつかの秘密資金が組み合わされたものが現在の“M資金”の実態であると主張する意見もある。それによれば、M資金・四谷資金・キーナン資金・その他の、GHQの活動を通じて形成された資金を統合したものが“M資金”であり、その運用は日本政府の一部の人々によって行われ、幾多の国家的転機に際して利用されてきたという。流れの不透明な資金には、他にG資金とX資金、さらには蓄積円というものまで存在した。1980年には笹川良一が資金提供して日本海洋開発が日本海で旧ロシアの軍艦アドミラル・ナヒモフの調査を実施し、金属のインゴットが引き上げられたと報じられたことがあった。

詐欺の手口

M資金詐欺は、昭和30年代から現代に至るまで、ほぼ同じ手口・内容の詐欺が繰り返されている。

M資金詐欺師が目を付けるのは、企業の経営者や実業家といった、それなりに社会的地位のある人々である。

M資金詐欺師は多種多様な演出をして思考を麻痺させ、脚注に記したような虚実織り交ぜた話で、被害者の欲求につけ入り、からめ取って行く。話を信じ、M資金の恩恵に与ろうとした被害者が金を用意して仲介者(詐欺師)に渡した後、その人物はそのまま行方不明になる、というケースが典型的である。時には契約の際に書かされた書類等をネタに、企業から金銭を脅し取る手口も存在する。なかには、すぐに姿を消さずに“通常では申込金の受付から審査まで数カ月かかるが、これを加速するための運動費を政治家に提供する”といった口実で、さらに金を引き出すM資金詐欺師もいる。

不透明な資金が色々あるおかげで詐欺口上はバリエーションが豊かである。『いわゆるM資金とは別』などと前置いてから、脚注に記した様々なバージョンの話で詐欺を働いているケースが知られている。

また、規模や金額は小額ながら、近年流行している“架空請求詐欺”や“振り込め詐欺”といったケースで、『弁護士立会い』『裁判所命令』『和解手続き』『還付金』といった、多くの被害者にとって非日常的な用語を多用して、被害者の思考を麻痺させている点に、M資金詐欺の強い影響が窺える。

社会運動への利用

M資金の存在を匂わせて疑心暗鬼に陥らせる手法は社会運動にも例が見られる。浪江町の舛倉隆は、浪江・小高原子力発電所建設反対運動のリーダーであったが、「東北電力がM資金を利用して原発を建設しようとしている」という噂を流して運動の一助とした(なお舛倉はこの他に「石油枯渇論はCIAの世論操作による虚構」という説も主張している)。

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